脊髄症(亜急性脊髄連合変性症)というのは、ビタミンB12の欠乏により脊髄が変性する進行性の病気です。症状としてはMSDマニュアル家庭版によると、「全身のだるさ(けん怠感)から始まり、両手と両足にはチクチク感としびれが生じます。これらの感覚は常時続く傾向があり、徐々に悪化します。振動を感じとることができなくなり、腕や脚の位置覚が失われます。腕や脚がこわばり、動作がぎこちなくなり、歩行が困難になります。反射は、減弱、亢進、または消失します。まれに、視力が低下することもあります。いらだちやすさや、無関心、眠気、疑い深さ、錯乱などがみられることがあります。感情の起伏が激しく、予想のつかない急な変化がみられます。まれに認知症も現れます。」とのこと。自分の場合は、けん怠感はあったかもしれませんが脚の位置覚がなくなるというのは確かにありました。例えばシャワーを浴びるときに、目をつむって頭を洗ったあと、目を開けると両足を投げ出しているようになっていることがよくありました。またソファに座っている時は足を組んでいないのに、足を組んでいる感覚でした。そして歩くときに足がスムーズに動かないなぁと思いつつも運動不足のせいにして受診しなかったのが、今思えば敗因です。ビタミンB12は、神経細胞を取り囲み信号を伝える速度を高めている脂肪のさや(髄鞘)の形成と維持に必要な物質だそうで亜急性連合性脊髄変性症(MSDマニュアル家庭版では少し名前が違いますね)では、髄鞘に損傷が起こり、その結果脊髄から出る感覚神経線維と運動神経線維が変性し、ときに脳、視神経、末梢神経が損傷を受けることもあるそうです。脳の損傷ではないですが前頭葉の萎縮が見られて、記憶力が低下していたので症状としては大体当てはまります。

この病気は「発症から数週間以内に治療がなされれば、ほとんどの人が完全に回復するそうで、治療が遅れると病状の進行が遅くなったり止まったりすることはあっても、失われた機能が完全に回復する可能性は低くなります。ほとんどの場合は、直ちにビタミンB12の注射が行われ、再発予防のために投与を無期限に続けます」ということですが、自分の場合は注射はされずにビタミンB12の飲み薬を処方されました。葉酸の飲み薬はもう処方されませんでしたが(MSDマニュアルプロフェッショナル版では「葉酸塩(葉酸)は,貧血を軽減することがあるが,神経脱落症状を進行させることがあるため,ビタミンB12の代わりに使用すべきではない。」と書いてありました。)、ビタミンB12の飲み薬は、無期限に、死ぬまで飲まないといけないようです。飲み薬ではなく、食事からビタミンB12を摂ればいいのですが「ビタミンB12の食物由来の供給源としては,肉類(特に牛肉,豚肉,および内臓肉[例,レバー]),家禽,卵,栄養強化シリアル類,牛乳および乳製品,魚介類(例,二枚貝,牡蠣,サバ,サケ)などがある。」だそうで、やはり肉をしっかり食べないといけません。また「大量のビタミンB12は毒性がないように思われますが,常用(すなわち一般強壮剤として)は推奨されない。」とありましたが、ビタミンB12は強壮剤になるんでしょうか